クランクひずみによるパイロットパワーの計測2

2017/08/27

センサ 運用 製作

前回に引き続きひずみゲージによるパイロットパワー計測の話です。
今回はキャリブレーションについて書きます。

ひずみゲージの取り付け状況。左クランク上面、下面に1枚ずつ取り付けた
ひずみゲージは上の写真の通り、左クランクの上面、下面に1枚ずつ貼り付けました。
パイロットパワーを求めるのに必要なのは曲げひずみの値で、2ゲージ法を使うと圧縮ひずみの除去が可能です。
今回は、圧縮ひずみも含めて測定することでペダリングの向きも測ることを目論んで、上下のひずみゲージを独立したブリッジ回路に接続し、1ゲージ法x2で測定を行いました。

1ゲージ法での測定を行う場合には、各種の温度補償の恩恵を受けられないので、温度を含めたキャリブレーションが必要になります。
そこで、クランクに与えるトルクと環境温度の両方を変えながらキャリブレーションを行いました。

キャリブレーションの様子。クランクから奥に延びる青い配線は熱電対につながる
キャリブレーションの結果を下の図に示します。
使用した錘は[0, 2, 14, 20]kg、温度は[18, 24, 28]℃程度です。

キャリブレーション結果。上のグラフは温度を、下のグラフは荷重を固定したものを同じ色で示した
計36点のデータを取得し、
(ADC出力)=(オフセット)+(荷重比例部分)+(温度比例部分)
として重回帰分析を行い、校正係数を求めました。

荷重比例部分の校正係数は市販のパワーメータPolar Keo Powerとの比較も行い、誤差が1%以下であることを確認しました。

「温度」として採用するべきものは、キャリブレーション時に測定したひずみゲージ部分の温度なのですが、外付けの温度センサをつなぐ設計にはなっていないため代わりにADC内蔵温度計のものを採用することとします。
また、この校正試験時にはコネクタを介してひずみゲージを接続していたり、ひずみゲージとブリッジをつなぐケーブルが長かったりしたので、鳥コン本番で使った構成より温度係数が大きめに出ているようです。
このあたりは次に新しく基板を作る際には反映するつもりです。

次回は取得したひずみデータからパワーを計算する部分について書く予定です。