2016/03/12

JAXA小型低乱風洞によるエアデータセンサの校正3

間があきましたが、前回の続きです。

今回は5孔ピトー管の校正についてです。

5孔ピトー管は中央孔の圧力を用いて対気速度を測定できるほか、上下・左右の差圧を用いることで、迎角・横滑り角を測定することができます。
実験では、ピトー管を風洞に対して傾けることで迎角・横滑り角を変え、その際の圧力センサ出力を取得しました。その時系列データを下図に示します。
5孔ピトー管の校正を行った際の各圧力計の出力電圧
風洞の流速を10, 15, 20 m/sに固定し、迎角・横滑り角の順に角度を変えてデータを取得しました。
ここから、迎角・横滑り角に対する各流速での圧力センサ出力を取り出すと以下の3つのグラフのようになりました。
10 m/sでの圧力センサ出力の迎角・横滑り角依存性
15 m/sでの圧力センサ出力の迎角・横滑り角依存性
20 m/sでの圧力センサ出力の迎角・横滑り角依存性
さらに、流速によらない校正定数を求めるために、上の3つのグラフで得られた結果を中央孔の圧力で規格化し、まとめたものが下図になります。
中央孔圧力で規格化した、差圧出力の迎角・横滑り角依存性。図中の直線は1次関数によるフィット、曲線は3次関数によるフィット。グラフの右下には得られた回帰直線の傾きに対応する校正係数を示している
上の図の傾きを用いることで、規格化した圧力センサ出力から迎角・横滑り角を求めることができます。
迎角・横滑り角が±10度の範囲では直線近似がおおむねよく成り立ちますが、それ以上の角度では回帰直線からのずれが見られます。
精度の高いデータを得るためには3次の回帰曲線を用いて圧力センサ出力から迎角・横滑り角を求める必要がありそうです。

最後に、迎角と横滑り角の間のクロストーク、すなわち迎角(横滑り角)を変えた場合の左右(上下)の差圧出力を示します。
迎角・横滑り角測定のクロストーク
迎角を変えた場合に現れる横滑り角測定値の変化はおおむね0.5度以内に収まっていますが、横滑り角を変えた場合に現れる迎え角測定値の変化は、横滑り角におおむね比例し、最大2.5度ほどになっています。
これは、ピトー管を回転テーブルに取り付けた際の角度アライメントが悪いことに対応する結果であると考えられます。
同等の問題は機体にピトー管を取り付ける際にも発生するので、後に補正が可能なように、機体軸とピトー管軸のずれを、写真を取るなどして記録、測定する必要があります。

以上の校正作業で、圧力測定値から迎角・横滑り角を得ることができるようになりました。
春先から試験飛行が再開するので、実機に搭載しさらなる評価を進めていく予定です。

2016/03/09

TallysmanのGNSSアンテナ

性能が高いというTallysmanのGNSSアンテナTW2405を購入してみました。
よく使われているのは防水型のTW2410ですが、試験飛行と記録飛行で使う分には防水不要なので、OEM版のTW2405を選定しています。

TW2405のケーブルは短めでMCXコネクタがついたものです。
コックピットに搭載したGNSSモジュールとアンテナを接続するにはケーブルの延長が必要ですが、ケーブルは駆動系近くを通る予定でメンテナンスがしにくいこともあるので、シールドを外し適切な長さのSMAケーブルに取り替えました。
TW2405のシールドを外した様子
TW2405の基板には"TW2410"とシルクが入っていて、基板が防水版のTW2410と共通なことが伺えます。また、アンテナとLNAの間にはSAWフィルタ用のパターンもあり、追加フィルタありバージョンのTW2407とも共通の基板を使っていることが想像できます。

GNSSアンテナとして動作することはベランダに設置して確かめましたが、肝心のRTK性能については未確認です。
どこか見晴らしがよく電子基準点に近い場所でRAWデータを取って、どの程度Fix解が得られるかをテストしてみたいと思います。

2016/03/07

HPA_Navi III実装中

HPA_Navi IIの後継となるHPA_Navi IIIの製作を始めました。

HPA_Navi IIと製作中のHPA_Navi III

HPA_Navi IIをしばらく運用した上で問題点を洗い出した上小型化しセンサ類を最新版に更新しています

仕様はほぼHPA_Navi IIと同じですが、以下の点に差異があります。
  • 基板の小型化・軽量化
  • GNSS対応: 搭載GPSモジュールをublox6シリーズからublox8シリーズに変更
  • GNSSアンテナのコネクタを変更: SMAからu.FLへ
  • 慣性・地磁気センサ構成の変更: MPU-6000+HMC5983の2チップ構成からMPU-9250の1チップ構成へ
  • アナログポートへの供給電圧の変更: PSoC 5LP出力(標準仕様では1.024V)から5Vへ
  • 各種タクトスイッチの廃止
  • USBコネクタの変更: miniからmicroへ
部品の実装とファームウエアの開発が済んだら、まずは可変ピッチプロペラの制御基板として利用してみる予定です。