超音波高度計と気圧高度計の比較

2012/10/29

センサ 運用

以前の記事で予告していた超音波高度計と気圧高度計の比較を行ったのでその結果をまとめておきます。
使用したモジュール等の詳細は以前の記事を参照してください。

下図に測定した気圧・温度を高度に変換したものを示します。
測定した気圧高度とフィルタの適用結果。データを見やすくするために2mのオフセットがつけてある
フライト時間は4分程度ですが、今回の測定条件では0点の気圧は測定開始時と終了時で同じと見なしてよい程度しか変化していないようです。
また、地上滑走時には気圧センサのダイアフラムの振動によるノイズの増加が見えます。

生データにはノイズが多く、表示に使うには難しそうなのでFIRフィルタをかけてみました。
フィルタのカットオフ周波数を下げるにしたがってノイズは減りますが、細かな高度変化をマスクしてしまいます。
カットオフ周波数をどの程度にするかの参考にするためにも、10, 1, 0.1Hzとカットオフ周波数を変えて超音波高度と比較してみました。
今回のデータは記録飛行のものですが、川を越えるなど地面の高さが変化するので、超音波高度と気圧高度ではだいぶ違った値が出ています。
10HzのFIRフィルタをかけた気圧高度。比較のために超音波高度のデータも示した
上図は10Hzの結果です。
生データよりはいくらかましになりましたが、ノイズが多く表示してパイロットに伝えるには適さないものです。
1HzのFIRフィルタをかけた気圧高度。比較のために超音波高度のデータも示した
上図は1Hzの結果です。
細かな高度変化は超音波高度と同じ傾向を示しています。
ノイズも表示に耐えられる程度には少なくなっています。
0.1HzのFIRフィルタをかけた気圧高度。比較のために超音波高度のデータも示した
上図は0.1Hzの結果です。
さすがにフィルタがきつすぎるようで、細かな高度変化の情報は消えています。

以上により、適当なフィルタリングをすれば十分に使える精度の気圧高度計ができると考えられます。
しかし、長時間使った場合のゼロ点ドリフトなど、表示してパイロットに伝えるにはさらなる評価が必要になりそうです。