2012/01/22

MPU-6050のテスト

SparkFunに並んでいたのでInvenSenseの6軸(加速度・ジャイロ)センサMPU-6050を買って試用してみました。
SparkFunの商品紹介ページにある写真の通り、届いたチップはRev.Cで、最新のRev.Dではありませんでした。
型番の最後にはESの文字も見えます。

実装したMPU-6050


電装系に載せていたジャイロセンサIMU-3000とピン互換性があるので、貼りかえるだけで基板への実装は終わりです。
同時に不要になった加速度センサLIS3LV02DLの除去も行なっています。

下の図に読み出しのテストの様子を示します。

MPU-6050・地磁気センサAMI304との通信の様子


LIS3LV02DLに巻き込まれて不可能だった6軸+温度/地磁気3軸のバーストリードができるようになったので、読み出しにかかる時間は4msから0.9msまで短縮できました。

今のところおかしな挙動はなく、安定してセンサの値が読み取れています。
また、読み出しの高速化にともなって他の処理に割ける時間が増えたため、システム全体の安定性も上がったように思います。

InvenSenseからはMPU-6050のSPI版MPU-6000や、MPU-60X0の進化版(?)のMPU-61X0、さらに地磁気も1チップに納めたMPU-9150もアナウンスされているので、手に入るようになったらそちらも試してみようと思います。

2012/01/15

Kinematic GPSによる飛行軌跡の解析

現在運用している電装系にはu-bloxLEA-6Tというちょっと高級なGPSを採用しています。
わざわざこんなGPSを使うのはKinematic GPSという方法を使って精度の高い飛行経路を求めたいためです。
Google Earthによる解析データの表示例。ピンク色が通常のGPSによる、オレンジ・緑色がKinematic GPSによる飛行軌跡。通常のGPSではわからなかったS字飛行の様子がKinematic GPSではわかる
備忘録を兼ねてこのGPSから吐き出されるデータを使って飛行軌跡を求めるまでの流れを書いておこうと思います。
解析は以下のような流れで行います。
  1. ログの取得
  2. ログの変換
  3. 電子基準点での観測値のダウンロード
  4. 精密歴のダウンロード
  5. RTKLIBによる解析
  6. データの表示
1. ログの取得
当然のことながら解析するためのログデータが必要です。
使用する解析ソフトRTKLIBの都合があるのでGPS受信機は対応リストの中から選びます。
必要なのは搬送波位相等のいわゆる生データです。
u-blox製GPSの場合、GPSモジュールの評価ソフトウエアu-centerやマイコンからのコマンド送信でRXM-RAWの出力を有効にして生データを取得します。
u-centerを使ったGPSモジュールの設定

2. ログの変換
RTKLIBが読み込めるログデータはRINEXという形式なので取得したログのフォーマットを変換します。
u-blox製の受信機の場合、fenrirさんのブログで公開されている変換プログラムが使えます。
ブログのコメント欄で指摘しましたが、このソフトには若干バグが含まれているので、RTKLIBで読み込めるRINEXファイルを得るには出力ファイルを手で少しいじるか、ソースコードに修正を加える必要があります。

3. 電子基準点での観測値のダウンロード
最寄りの電子基準点での観測データをダウンロードします。
富士川滑空場の場合、最寄りの電子基準点は蒲原です。

4. 精密歴のダウンロード
GPS精密歴をダウンロードします。
発表される時期によって超速報(igu*****.sp3.z)、速報(igr*****.sp3.z)、最終(igs*****.sp3.z)の3つがありますが、遅い発表のものほど精度は高くなります。

5. RTKLIBによる解析
RTKLIBのRTKPOSTを使って解析を行います。
変換済みログデータ、精密歴、電子基準点での観測値を指定し解析します。
オプションの設定項目がたくさんありますが、最低でも
  • Kinematicモード (Setting1/Positioning Mode)
  • 精密歴を使用 (Setting1/Satellite Ephemeris Clock)
  • 電子基準点の座標 (Positions/Base Station)
を設定しておけばうまく解析できるはずです。
RTKPOSTのデータ指定例。obs/navファイルがログデータ、11oファイルが電子基準点の観測値、sp3ファイルが精密歴
RTKPOSTのオプション設定例
RTKPOSTのオプション設定例。蒲原の電子基準点の座標を選択した

6. データの表示
必要に応じて解析したデータを表示します。
表示にはRTKLIBのRTKPLOTやGoogle Earthが使えます。
Google Earthで使うkmlファイルは、RTKPOSTで生成できます。
RTKPLOTによる解析データの表示例。軌跡の他にも位置、速度、加速度等が表示できる
以上の手順を踏めば飛行軌跡が出てくるはずです。
少々高価なGPSモジュールを使う必要がありますが、それに見合った精度のデータが取れるので人力飛行機業界に広まることを期待しています。

2012/01/08

GPS用Wilkinson Couplerの設計とシミュレーションII

前回の続きです。

前回は使うコネクタやケースなど、製作のことはあまり考えずに設計を行いましたが、実際に製作することを考えてモデルに修正を加え、再度シミュレーションを行いました。
下の図が修正したモデルです。

修正を加えたシミュレーションモデル。42.4 x 33.2 x 23 mmのアルミ製の箱を境界条件にしている
前回との大きな違いは以下の3点です。

  • 入れる箱(タカチMB-S1)の大きさに合わせた境界条件を設定
  • 基板の大きさを箱のサイズに合わせた
  • 入出力に使うMCXコネクタのパッドを追加
これらの変更に伴い、特性がよい周波数が少しずれたので、線路長も変更しています。

このモデルを使ったシミュレーションの結果を以下に示します。

シミュレーション結果。左軸は透過率、右軸はVSWR

シミュレーション結果のスミスチャート
1.95GHz付近にMCXコネクタ付近で起こるインピーダンスの不連続による特性の乱れがありますが、GPSで使う周波数帯域では十分な性能があります。

シミュレーション結果をもとにEagleでパターンを描き、発注用にガーバーデータを出力しました。
表面のガーバー出力
裏面のガーバー出力
ソルダレジストの誘電率・誘電正接・厚さ等が不明で、特性に与える影響が見積もれないので、表面はパターンむき出しです。

基板厚さなど、基板の製作精度で変化するであろうパラメータを変えながらシミュレーションを行ったところ、10%程度の誤差では大きな特性の変化は起こらないことがわかりました。
このことから、このパターンではインピーダンスコントロールは不要であると考えられるので、基板はFusionPCBに発注するつもりです。

基板が届き次第部品を取り付け、ネットワークアナライザで特性を測ってみようと思います。